“長寿の国”日本は65歳以上の高齢者が人口の23%を占めており※1、世界最高水準の高齢社会を迎えています。
日本における高齢化の特徴は、進行速度が他国に比べ非常に速いことです。65歳以上の老年人口が全体の7%に達すると「高齢化社会」、その2倍の14%に達すると「高齢社会」と呼ばれますが、「高齢化社会」から「高齢社会」への移行は、フランスでは115年、スウェーデンで85年、アメリカでも72年かかっています。これに対し日本は、わずか24年※2。いかに日本の高齢化が急速に進行したかがわかります。
こうした急激な変化により、老後への備えが不十分なままに老後を迎えなければいけない人が数多く出現しました。かつては憧れであり、幸せなこととされた長生きに対する認識は大きく様変わりし、今では長生きを“不安”と捉えている人が大多数を占めているのが現状です。
東京海上日動あんしん生命保険株式会社が2010年に実施した「“長生き”に関する意識調査」の結果によると、「長生きすることに不安を感じるか」という問いに対して、「非常に不安を感じる」と答えた人が全体の25.1%、「少し不安を感じる」と答えた人は60.6%にのぼり、約9割の人が長生きを不安と感じていることが明らかになりました。
また調査で、長生きを不安視する理由の上位は
「お金」(77.7%)、
「病気・入院」(77.4%)、
「介護」(62.6%)
となりました。
長生きするということはつまり、現役を退いてからの年月が長く残されていることを意味します。しかし、その間の支出を退職金と年金だけで賄うことは、容易ではありません。また、平均退職給付額の推移からは近年の支給額が以前に比べて減っていることが分かります。
不安を感じる原因の二位“病気・入院”もお金に関係します。もしもの時に十分な医療を受けるには、やはり資金の備えが重要になってきます。
同じ調査で45歳~65歳の人に聞いたところ、早くから長生きへの備えをしておくべきだったと後悔する人の割合が52.4%にものぼっています。
備えておくべきだったことのトップは、「節約・貯金を行っておく」という、やはりお金に関することでした。老後のための計画と準備は、早ければ早いほどリスクを軽減させて安心を増やします。
まずは、下のチェックリストで問いの答えを頭の中に描いてみてください。今すべきことがきっと見えてくるはずです。
※1 出典:総務省統計局「統計トピックス No.54 (平成23年9月16日)」
※2 出典:厚生労働省「平成17年版 厚生労働白書」
【老後チェック】
□自分の平均余命を知っていますか?
□リタイア後の生活に必要な蓄えはありますか?
□リタイア後の生活について、家族で話し合ったことはありますか?
□病気や介護が必要になった時への備えはありますか?
□退職一時金がどれくらいか知っていますか?
□年金はいつから、どのくらいもらえますか?
□定年時の資産はどのくらいありますか?
□終の棲家は確保できますか?
□夫が先に逝った時、妻の生活費は確保できますか?
担当 福田 浩子