『雨の日の思い出が多い人は幸せです。』と、高校生の頃に聞いた言葉。
その言葉を聞いた日から〇十年、雨の日には、「思い出を作ろう」と思うようになりました。
最寄りの地下鉄の駅に「善意の傘」というコーナーが設けてあり、そこにはビニール傘もあれば、カラスのような真っ黒な大きな傘、それからカラフルなきれいな傘、そして安全に配慮された黄色い子供用の傘、どれも使い古した傘ですが、それらを見るととても優しい気持ちになります。
先日、地下鉄に乗っていると娘からメールが届きました。
「雨が降っているけど傘持ってる?」。
突然の雨だったので傘を持っていなかったけど駅からさほど遠くない我が家。
「ないけど大丈夫」と返信。
地下鉄の階段がひどく濡れていることから雨が強いことがわかりました。
走ったら大丈夫か・・・と思いながら、階段を少し重い足取りで上がると、傘を持った娘が待っていてくれました。
差しだされた傘は、子供たちが小さいころに使っていた黄色のぷーさんの傘。
安全に配慮された黄色の子供用の傘は大人の私には少し小さかったですが、久しぶりにみたこの傘で娘と懐かしい話ができました。
高校生になった娘に、「雨の日の思い出が多い人は幸せなんやて」と教えてあげました。
そしてこの安全に配慮された黄色のぷーさんの傘は「善意の傘」のコーナーに後日、寄付しておきました。
福田 浩子